「内藤邦夫のワインビジネスまっしぐら」最終回

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日本ソムリエ協会機関紙 「ソムリエ180号」

 

 

 

 

連載中の「内藤邦夫のワインビジネスまっしぐら」が今回連載5回目で最終回を迎えました。

 

 

 

 

この連載を通して、これまで38年間のワイン屋生活を振り返る貴重な機会をいただきました。

 

 

 

 

深く、深く感謝をしております。ありがとうございました!

 

 

 

 

1本目 神戸ワイン 無濾過 白にごり生ワイン 辛口 2020  2,640円

今週の神戸ワインの圃場での作業の後、ワイナリーの売店で買いました。

神戸市収穫のシャルドネ100%で仕込まれています。

オリ引きをしないでボトリングをしているため、瓶の底には酒石がびっしり。

いい感じですね。

 

 

 

 

“にごり”と名前がついていますが、酒石と一緒ににごりの成分は結晶したのでしょうか?

わずかに細かな酵母のゆらゆらした感じはありますが、にごりはありません。

まずは、フレッシュなアロマ、新鮮な果実味に、シトラス系の強い酸、なかなかしっかりとしたミネラル感もあります。

うん、これ美味しいです。とても美味しいです。

最初、酸が強めかな?と思いましたが、後から厚みのあるフルーツが出てきて、ちょうどよい感じ。

ワタシの大好きな、ラクロワ・クラシオのピクプール・ド・ピネに、味わいが似ているような気がします。

にごりという名に反した、雑味のないとてもピュアでクリーンな白ワインです。

これ、2020年が初仕込みだそうです。

限定500本の生産とありますが、今年はもっとたくさん造って大々的に売り出してはいかがでしょうか?

 

 

2本目 Book Road 葡蔵人 富士の夢 1604-34  3,190円

葡蔵人(ブックロード)は、2017年に誕生した東京・台東区にある都市型ワイナリー。

これは茨城県にある自社圃場で収穫した富士の夢100%で仕込まれています。

富士の夢は、メルローと山ぶどうの交配種。

マンズレインカット栽培を開発した志村富男氏が交配したブドウ品種です。

このブドウのワインは初めて飲みます。

へえー。美味しい。

まったりとした密度のつまった果実の風味。プルーンやダークチェリーを思わせる黒い果実感です。

タンニンも酸もとても丸くまろやか。

山ぶどう交配種なので、もっと酸が強いのではと予想していましたがハズレました。

変な添加物由来のエグ味も全くないピュアで自然な舌触り。

富士の夢は雨や病害にも強く、ポリフェノールも大量に含む品種だそうです。

富士の夢、とてもありだと思いました。

 

 

 

May 21

Sommelier #180 was published.

 

There was the serial in fifth installments titled “Naito Kunio Wine Business in Full Charge”.

 

It is the final installment.

 

Thank you very much!

 

 

1st Kobe Wine Chardonnay Non-Filtered 2020  2640 yen

I bought this one at the winery in this week.

It is made from 100% Chardonnay grown in Kobe.

There are a lot of tartars at the bottom due to a non-filtered method.

They are beautiful.

I felt very fresh aroma, natural fruits, brilliant citrus and fine minerals.

The taste is very pure and natural.

It was produced only 500 bottles.

Why didn’t they produce such fine Chardonnay wine?

Is the complaint from the consumer about the tartar so difficult?

 

 

2nd Book Road Fuji no Yume 1604-34  3190 yen

Book Road is an urban-type winery located in Tokyo.

They started their wine making in 2017.

Fuji no Yume is a hybrid grape variety born from Merlot and Yamabudo, which is Japan’s wild grape variety.

It was the first time I had tasted Fuji no Yume.

 

“Well… Oh! It is tasty!”

 

I felt very dense black fruits like a prune or dark cherry, mild acidity, silky tannin and comfortable mouthfeel.

Yamabudo has a strong acidity but Fuji no Yume doesn’t has such strong taste.

It is a very charming red wine.

 

They say Fuji no Yume has tolerance for disease and rainfall.

I expect a good potential of this grape.